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切れ字としての助動詞「けり」

いくたびも雪の深さを尋ねけり   正岡子規

「けり」などと言う言葉は、古典の中だけと思っていましたが、俳句を始めてみると「切れ字」として現代でもたびたび現れますので、改めて勉強しなおす必要があります。

<助動詞「けり」の語源>

助動詞「けり」を理解するのに最も分かりやすい説明に次の引用を挙げます。

「ケリ(ki+ari=keri)」は、「キ」という「過去の動作/作用」を回想する時に使う助動詞「キ」に「アリ」という,日本語で一番大切な「存在」を表現する動詞が、助動詞として使われた表現。つまり、「ケリ」は〈過去の事象の「動作主体」がイマ話者の脳裏に蘇っている(回想されている)>という意味。それ故、「けり」が伝える本質的な時間は<イマ>という発話の時間に「過去の動作主体が話者の脳裏に回想されている」ことを意味する。だから、「ケリ」は過去の動作(作用)自体を意味しない。

引用サイト

すなわち、原義は「過去の事実,過去から継続して現在に至った事実,または,現実について,今になり,その存在や意義がはっきり認識された」との意となります。

このことから、助動詞「けり」の用法は、以下のようになります。

<過去の完了を表す用法>

「けり」は、主に過去の完了を表す助動詞として使われます。過去の出来事が完了した状態を強調する役割を持ち、物事の決定的な結果や重要な出来事を述べる際に用いられ、その意味は現代の「た」と近いものがあります。例えば、「花が咲きけり」という表現は、「花が咲いて終わった(完了した)」ことを示します。

現代では、通常この意味で助動詞「けり」が使われることはなく、「けりをつける」という成句に残っているだけと言えます。

<伝聞や物語の語り口を表す用法>

また、「過去の動作主体が話者の脳裏に回想されている」ことから、「けり」は伝聞の意味を表す場合もあります。

即ち、話し手自身がその出来事を目にすることなく、他の人から聞いた情報を伝える際に用いられます。

例えば、

今は昔、竹取たけとりの翁おきなといふ者ありけり。(竹取)

【……竹取の翁という者がいた(そうだ)。】

<詠嘆の用法>

また、「過去の動作主体が話者の脳裏に回想されている」「現実について,今になり,その存在や意義がはっきり認識された」ということから、「今になってふと気付けば・・だったなあ」という回想や「ふと気付けば?だったよ」の『詠嘆』の意味にもなります。

例えば、

見渡せば柳桜やなぎさくらをこきまぜて都ぞ春の錦にしきなりける(古今)

<……都こそが春の錦であるのだなあ。>

一般的に、会話文中の「けり」は詠嘆を表していることが多く、そうでない場合は伝聞表現が多いと言えます。

・「あさましう、犬なども、かかる心あるものなりけり」と笑はせ給ふ。(枕)

<……このような心があるものなのだなあ」と……>

現代では、会話では方言の中に「・・だったっけ」という形で「り」が落ちた形で残っています。

そして、俳句の切れ字として「けり」が詠嘆的表現として今でも重要な役割を果たしているわけです。

<切れ字「けり」が用いられた名句>

いくたびも 雪の深さを 尋ねけり  正岡子規

(降り積もる雪の深さを、何度も尋ねたことですよ。)

赤い椿 白い椿と 落ちにけり   河東碧梧桐

(赤い椿と白い椿が、樹の下に色鮮やかな様子で落ちている。)

降る雪や 明治は遠く なりにけり 中村草田男

(雪が降ってきた。いつのまにか明治の時代は遠く過ぎ去ってしまったのだなぁ。)

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